Australian Genome Research Facility(AGRF)、自社のDNAにアーカイブを埋め込む
Australian Genome Research Facility(AGRF)では、学術機関、一般産業、政府機関などの顧客をサポートするために膨大な量のゲノム配列データを蓄えています。AGRFのチームは、急速なデータの増加に対応でき、かつ価値あるデータをより適切に保護できるようなストレージ・ソリューションを必要としていました。
ゲノム配列データの急激な増加に直面
AGRFは、学術研究者、医療機関、営利企業、政府機関などを含む広範な種類の顧客向けにゲノム解析サービスを提供しています。AGRFの情報通信テクノロジー(ICT)部門の責任者であるRowan Gronlund氏は次のように話しています。「我々の目標は、大量のデータを処理し、それをある程度早いスケジュールで顧客に渡せるようにすることです」。
ゲノム配列データの保存は、深刻な課題をもたらしています。「我々が保存するデータの量は、2年半前の約3倍に膨れ上がっています」とGronlund氏は話しています。
データの増大により、AGRFがデータを保持できる期間が制限されています。「過去には、我々がデータを保持できる期間は200~300日でした。次に生成されるデータセットのための領域を確保するために、この保持期間を過ぎたデータはシステムから削除する必要がありました」。
ゲノム配列データを保護することの重要性を認識
また、AGRFのICT部門は、研究者により生成された貴重なゲノム配列データを保護する方法を持っていませんでした。ゲノム配列データが失われた場合、同ICT部門は、生体サンプルのゲノム配列を再び解析する必要がありました。ゲノム配列の再解析には4~6週間の時間がかかるほか、データの消失はAGRFの評判に大きなダメージを与える可能性があります。
クアンタムのマルチ階層型ソリューションを導入することによりデータの保存とアーカイブを実現
そこで、同社のICT部門では、クアンタムのマルチ階層型ストレージ・ソリューションを導入することを決定しました。「我々は、クアンタムの他の顧客から、クアンタムの当該ソリューションに関する非常に好意的な意見を聞いていました」とGronlund氏は話しています。
同社のICT部門では、StorNextデータ管理ソフトウェアを搭載したクアンタムのArtico NASアプライアンスを選択しました。Articoは、容量30TB以上の高性能のディスクベースのストレージを提供する製品であり、マルチ階層型のストレージおよびアーカイブ環境のフロントエンドとして機能します。また。同社のICT部門は、ArticoアプライアンスのバックエンドとしてクアンタムのScalarテープ・ライブラリを導入しました。
ゲノム配列データの長期保存が可能に
AGRFでは新しいソリューションを使用することで、シーケンサーにより生成されたゲノム配列データを長期間保存できるようになりました。「以前は、新しいデータセット用の領域を確保するために300日以内に古いデータを削除する必要がありましたが、今では最大で3年間もデータを保持できるようになりました。今では、顧客はより古いデータを要求できるようになり、我々もその要求に素早く簡単に答えられるようになりました」とGronlund氏は話しています。
アクティブ・ボルトによりコストを削減
AGRFのICT部門は、過剰なハードウェアの購入を避けるために、利用頻度の少ないテープをライブラリ内の独立したパーティションに格納できるようにする機能である「アクティブ・ボルト」を使用しています。「ArticoソリューションとScalarテープ・ライブラリをアクティブ・ボルトと組み合わせて使用することで、我々は、総コストを競合ソリューションのコストの半分にまで縮小できました」とGronlund氏は話しています。
IT管理の合理化
同ITC部門がクアンタムのソリューションを選択した理由の1つとして、同ソリューションが他のベンダーのソリューションに比べてより簡単にストレージを管理することが挙げられます。「クアンタムのソリューションは、管理のために高度な専門知識を必要としません。それこそが当社が希望していたものです。初期設定とポリシー設定を完了した後、我々はテープを追加購入すること以外に、ソリューション環境には一切手を加えていません」とGronlund氏は話しています。
ゲノム配列データの保護と迅速なリカバリーの容易化
クアンタムのソリューションの導入により、同ICT部門は、より堅牢なバックアップ戦略およびディザスター・リカバリー戦略を実現することで、貴重なゲノム配列データをより適切に保護できるようになりました。「クアンタムのソリューションを使用してデータを連続的にアーカイブすることにより、我々はより適切のデータの保存と保護を行えるようになりました」とGronlund氏は話しています。
また、クアンタムのソリューションにより、ディザスター・リカバリーも容易になりました。「Articoを使うことで、シーケンサーが生成した手つかずのバージョンのゲノム配列データを保持できるようになりました。その後のゲノム配列分析で何か不具合が発生した場合、我々はオリジナルのデータを簡単にリカバリーできます」とGronlund氏は話しています。
テープ・アーカイブは、DR保護の追加的なレイヤを提供します。「当社では2つのコピー・データをテープ上に保持しています。1つはオンサイト用、もう1つはオフサイト用です。クアンタムのソリューションを導入することで、我々はゲノム配列データを再解析する必要がなくなったほか、さらに重要なことに、当社の評判を落としかねないゲノム配列データの消失リスクを最小化できるようになりました」とGronlund氏は話しています。