大手自動車エレクトロニクスメーカー、クアンタムのマルチ階層型ストレージ・ソリューションで自律走行車のワークフローを加速

アクティブ・セーフティ・システム向けの次世代エレクトロニクスや自律走行車技術の開発で数々の賞を受賞している企業が、データの激増とワークフローの複雑化を原因とするワークフロー・ボトルネックを解消するソリューションを必要としていました。クアンタムのマルチ階層型ストレージ・ソリューションだけが、他のソリューションの10%のコストではるかに優れた性能を発揮することでワークフローの簡略化を可能にし、予算の範囲内で、開発チームをフルスピードに戻すことができました。

この事例でご紹介する国際的企業は、自動安全装置や自動運転技術をはじめとする次世代車両向けエレクトロニクスのトップメーカーであり、年間売上高は数十億ドルに上ります。近年、自動ブレーキ・システムや衝突警告システムといったアクティブ・セーフティ・システムが事故の削減と車の安全性向上に有効であることが証明され、自動車エレクトロニクス研究は急速な進化を遂げています。同社は最近、データ量が劇的に増加したときに、試験時間の短縮やより高度な分析の必要性と競合し、この重要プログラムの進行が脅かされていることを目の当たりにしました。

自動車技術研究のデータ・セット増大でデータ量が増加

最先端の自動車エレクトロニクスの開発は、車載センサーやビデオカメラから収集したデータ・セットを使用して高度な試験/分析プログラムを実行できるかどうかにかかっています。カメラやセンサーの数が増加し、解像度が高くなったため、保存/管理が必要なデータ・セットは急速に増大していきました。同社では、プロジェクト・データの格納量を数百テラバイトから1ペタバイトに増やしました。

高度な分析とデータ保管の長期化がワークフローを変える

データ量の激増に伴い、高性能コンピューティング (HPC) システムの導入がITインフラストラクチャの負担を増やし、ワークフローの変更が余儀なくされています。ネットワーク接続ストレージ (NAS) システムは新しいHPCシステムに十分な速さではなかったので、エンジニアリング試験用にデータ・セットをローカル・ディスクにコピーしていました。データ・セットが大きくなるということは、分析を実施するためにより高速なストレージ性能が必要になることを意味し、当時の環境では対応できませんでした。開発チームがより高度な新しい分析ソフトを開発したときに、将来的に再利用ができるようにすべての旧データ・セットを保存しておかなければならないという点が、問題をさらに複雑にしていました。

ITチームは、ビジネスの新たな需要をサポートするために、データ管理とストレージ・システムの転換を決断しました。より多くのデータを長期にわたって保存し、より効果的に保護し、プロジェクトに取り組んでいるすべてのチームのアクセシビリティを向上させるシステムを、予算の範囲内で、構築する必要がありました。

一元管理で高性能ディスクとテープ・アーカイブを融合したソリューション

ITチームは、可能性のあるすべての選択肢を検討し、幅広いベンダーの話を聞きました。NAS容量の拡大も検討されましたが、コストが高く、データ保護が複雑で性能も不十分だったので、その案は却下となりました。代わりに、高性能ディスクとアーカイブ層を融合したストレージ・アーキテクチャにクアンタムのStorNextデータ管理ソフトウェアを使用する階層型ストレージを選択しました。

StorNextソリューションには3つの大きな利点がありました。StorNextは大規模ファイルおよび大量のファイルに対応する設計ですが、同社の仕事ではこれらの重要度がさらに高まりつつありました。StorNextはコラボレーティブ・ワークフローにも対応するので、複数のチームがデータ・セットを共有でき、複数のエンジニアが同一ファイルに同時に作業することも可能です。さらに、大容量ストレージをサポートし、自動保護機能を装備し、総コストも低い、テープ・アーカイブを含む階層型アプローチを使用していました。総合的にみて、StorNextソリューションの総費用は、検討したその他のアプローチの10%に抑えられるという結論に達しました。

アクセス、保護、アーカイブを融合した新しいワークフロー

新しいワークフローでは、Quantum StorNextの管理する環境に組み込まれた高性能ディスク・アレイに研究データがダウンロードされます。エンジニアリング・チームのHPCシステムは、高速ファイバ・チャネルのストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) 接続を使用してデータに直接アクセスできます。StorNextにより、すべてのユーザーが同じデータ・セットを見られるようになり、複数のチームが同じファイルを同時に使用して分析を実行することも可能になりました。総合的にみて、ワークフローは大幅に高速化・効率化しました。

データ保護もプロセスの一部として自動化されています。StorNextは、データがディスクに着地するとただちに、StorNext AELテープ・アーカイブに2つのコピーを自動作成します。当初、コピーはバックアップとして使用され、その後、アクティブ・アーカイブの一部になります。ディスク上のデータが作業対象のアクティブ・データでなくなった時は、ディスク領域が解放されますが、テープ・コピーの1つはアクセス可能なアーカイブに残ります。StorNextは、ディスク上のコピーと同じファイル・システムを通じてアーカイブ・コピーを同じディレクトリに表示するので、研究チームは直接アクセスすることができます。

プロジェクト担当エンジニアは、直接アクセスできるデータの量、使用するファイルをアーカイブからディスクに再書き込みする速度に、感銘を受けていました。

サイト間のコラボレーションを支援

テープ上の2つ目のデータ・コピーには2つの用途があります。コピーはディザスター・リカバリー (DR) 保護用の保険的なオフサイト・コピーとして使用されますが、世界中に散らばる設計チームおよびエンジニアリング・チームが同じデータで作業を行うための極めて効果的な方法にもなります。ITチームは、北米サイトと欧州サイトでペタバイト級のデータを共有するには、アーカイブ・テープをサイト間で輸送するのが最も簡単な方法であることを発見しました。2つ目のサイトにデータを置くことで、世界中の開発チームが同じデータ・セットを共有できると同時に、重要ファイルの DR用コピーも確保されます。

急速に拡大するエンジニアリング/設計分野のニーズは先行き不透明ですが、データ量の増加、保存の長期化、高性能化、コラボレーションの向上へのニーズが関係することは確かなようです。StorNextのアプローチは、将来のニーズを満たすために役立つ幅広いオプションをITチームに提供します。性能と容量を個別に拡張でき、アクティブ・ディスク作業領域を最小限に抑えてコストを抑制しながら、アーカイブを巨大化することも可能になります。