地方銀行の基幹系データを「DXi」でレプリケーション, 大幅な運用不可の軽減を実現

日本ユニシスが地方銀行向けに提供するBankVisionのデータ・バックアップに新たに採用されたのがディスク・バックアップ・システム「DXi6700」です。これまでテープ運用していた遠隔地へのデータ保管を、DXi6700のレプリケーション機能に置き換えたことで、大幅な運用負荷の軽減を実現しました。今後はBankVisionの標準バックアップ装置として導入していく方針です。

テープ中心の運用を見直し、「DXi」でレプリケーション

BankVisionにおけるデータ・バックアップは、これまでテープ運用が中心でした。センターのサーバからバックアップ・データをテープに取り、そのテープを外部の保管庫に毎日搬送していました。

金融システム第二本部 基盤技術三部 部長の三ツ井淳一氏は次のように語ります。「こうしたテープ・ライブラリから毎日出し入れする手間と搬送のコストに加えて、メディア自体の故障などもあることから、テープ運用を見直し、バックアップ環境の改善を図ることは以前から大きなテーマになっていました」

数あるデータ・レプリケーション製品の中で、三ツ井氏が注目したのがバックアップソフトの選択肢が豊富でテープライブラリとの親和性が最も高いDXiでした。その選定にあたり一番の要件としたのは、これまでの運用形態を変えずにバックアップ運用をいかに改善できるかという点です。新たな装置の導入で運用が変わると、現場は一から操作を覚え直す必要があるだけなく、ミスが発生する原因にもなります。

「以前から使用しているバックアップソフトのNetBackupをそのまま使用できて、VTL(仮想テープライブラリ)によって慣れ親しんだテープと同じスタイルで運用が可能なDXi6700の採用を決めました。DXiのほかに別製品とも比較しましたが、DXiは標準でVTLを提供している点を評価しました」と三ツ井氏は選定理由を語ります。

データ量は1/13に大幅削減

同社では、東京エレクトロンデバイス(TED)より評価機を借りて、実データと同様の勘定系データを使用して半年に渡って徹底したテストを実施し、TEDの協力を得てチューニングを進めていきました。その結果、最終的には7.5%と約1/13までのデータ圧縮を達成しました。

「DXiを初採用した実運用では、毎日のバックアップ・データ量は1.6TB、月末で2.4TBになります。正センターと災対センターとの間のWAN回線は100Mbpsで、レプリケーション用の帯域を50Mbpsに制限していますが、それでも前日24時に開始した処理が翌日の朝8時には実質的に終了します。当初の予定では、昼12時を想定していたので、これは予想以上の大きな成果です」と三ツ井氏は強調します。

また、これまでのテープ運用と異なり、どこに何のデータが保管されているのか確実に把握できるため、容易にリストアの要望にも対応できるといいます。加えて、リストアのポイントも従来の2日前から1日前までに改善。リストア時の作業量も大きく削減しています。なお、現在はテープ運用も残しているので最大で4重のデータ保管となり、BCPの強化にも貢献しています。

「VTL化で、これまで3台のテープ・ライブラリを使用していた環境から、1台のDXi6700に置き換えが進み、基本的にテープの取り出し、搬送が不要になりました。当社サービスとしての運用負荷軽減につながっています」と三ツ井氏は成果を語ります。

「DXi」が10銀行の標準バックアップ・システムに

「BankVisionを採用いただいている銀行は現在10行です。当社では、DXiシリーズをBankVisionの標準バックアップ・システムと位置付けているので、今後は5年ごとに行っているハードウェアの切り替えに合わせて順次、DXiへの置き換えを進めて行く計画です。」